うるさい素人

質を重んじ物事の本質を見抜く! 脱サラして英語発音講師を目指すオヤジのブログ

お墓の区画の中の生態系

今日、実家近くのお墓へ行ってきました。祖母の27回忌法要の日程が近づいてきたためです。


年忌の当日は、お寺での法要のあと、住職とお墓へ移動して、お墓でも続きの供養があります。
よって、当日は、お寺での法要が始まる前に、私たちだけで事前にお墓へ行って、整えておかなければなりません。お花のセットも必要だし、当日に草取りするのは時間的に困難。

という訳で、今日は「草取りメイン」で行ってきました。

 

いつもは、つい出発が遅くなってしまうのですが、今日は、朝早く出発。正解でした。

高速もお墓も混んでいなかったし、思いのほか暑い日になったので、ギリギリのタイミングでお墓を綺麗にすることができました。

 

さて、今日の草取り中、お墓の区画に「虫」がいました。

砂利の下の土には、虫がいっぱいいます。それはわかっているんですが、今日、砂利の上にまで出てきていた虫がいました。「尺取り虫」と「黒いイモムシ」。

 

黒いイモムシは、「全体が黒く」て、「黒いトゲトゲ」があって、「背中に真っ赤な線」が入っている、いかにも毒がありそうな虫


ところが、このイモムシ、「ツマグロヒョウモン」という蝶の幼虫で、毒はありません。そのような姿で身を守っているようです。

成虫の蝶は、黄色くて黒い模様がある「美しい蝶」です。

 

この「ツマグロヒョウモン」の幼虫、以前にも同じ場所にいました。同じ個体ということはあり得ないので、その「ツマグロヒョウモン」の家系として、歴代、ここに1匹いるような感じです。

 

今日は完全な草取りしようとしたのですが、その子が草を食べていたので、そこだけ少し残しておきました。

 

この墓は、祖母が建立したものです。区画は広めで、祖母のゆかりの地から移設した「先祖代々の墓」と、祖母が新たに建てた「戦死した叔父の墓」の2基が並んでいます。

 

昔からあるお墓だからか、砂利は入れてあるものの、草がよく生えるし虫もいます。

 

他の区画と比べ、ここだけ、虫が多い気がします。私たちは時々しか来れないので、「草が生え」、「虫がいて」、「土が肥えて」いくからだと思います。

 

まるで小さな生態系ができているかのようです。

 

ちなみに、かつてあった実家の庭も、小さな生態系のようでした。戸建て住宅の土地としてはちょっと広めで、植物がたくさんありました。父は生き物が大好きでした、植物でも小動物でも。普通の人ならちょっと敬遠するような生き物が好きだったりもしました。そういう父が管理していた実家の庭は、「ちっちゃな森」のような感じでした。

 

父が亡くなってから、私が、父の生き物好きを受け継いだような感覚があります。

 

生き物が好きだと言っても、いろいろな影響があるので、共存は難しいものです。

「居てはいけない」もの、「増えすぎてはいけない」もの、「そっとしておけば良い」もの、などがいる。だから単純ではなくて、「無条件に放っておくのが良い」訳でも、「何でも殺してしえば良い」訳でもない。「中間」がある訳ですよね。

ところが、そのような「中間」の考え方を入れると、とたんに判断が難しくなります。

 

それでも、今日行った墓地の中は、それなりにバランスが取れていると思います。

土の中には、自然のバランスでたくさんの生き物がいるし、お供えの洗い米を狙って鳥が来るし、ネコもいる。

 

都会なら、もう少し厳しい管理をしないといけないのでしょうけど、この墓地ではこれぐらいでいい。その基準ってのは「暗黙の了解」みたいなもので成り立っているように思います。

 

もし、害がある虫が出てきたら、それなりの対処が必要ですが、今、この砂利の下にいる子たちは、そっとしておけば良いと思っています。

 

私はそういう考え方なのですが、当然、他の人は違う考え方でしょう。私が可愛いと思う虫でも、立場によっては害虫ですからね。

 

でも、そのような私たち1人1人の立場や考え方があって、それら1人1人の人間関係があって、それで、全体のバランスができているのですね。

 

大きな生態系ですね。

 

今の世の中、「0か100か」の判断がされることが多いようです。でも本来は、アナログというか、中間があって良いはずです。

 

ところが、中間があると、自分で決められない人が出てくる。「どっちにすればいいんですか」みたいな発想が出てくる。

 

中間があって、1人1人が、その中間の「アナログ」の「適正値」を決める。その上で、全体が構成されている。


そのようなアナログの判断に基づき社会を回していくことは「非常に高度」なこと。昔は自然にやっていたはずのことなのに、今はデジタルになりすぎてアナログ判断ができなくなってしまった。しかし、私は、もう考え直さなきゃいけない時期に来ていると思います。

 

「お墓に虫がいる。毒虫みたいに見えるが、これは綺麗な蝶になる幼虫。現に、その蝶が付近を舞っている。その幼虫が、おいしそうに雑草を食べている。」

この状況で、私は少しだけ草を残すことにしました。よく食べる幼虫にとっては、たぶん量が足らないとは思いましたが。

とにかく、私はそういう判断をした。幼虫は、異変を感じたようで、付近を探検し始めたようでした。


これで良かったんだ、と思います。