うるさい素人

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英語発音雑記(3) RとL

この雑記では、英語発音に関する私自身の回想や考えなどを「独り言」感覚で綴ります。発音方法を解説することは意図していませんのでご了承ください。

 

「RとL」(「LとR」という人の方が多いかも)、これほど英語学習者を悩ませている話はそうないのかも知れない。ただ、一般的な順番とは異なる順番で英語(発音)を覚えてきた僕からすると、この混乱は、なんだか「話が複雑になりすぎている」ように思う。

 

「RとL」の発音の基本的な「芯」とでも言える本質は、いたってシンプルだと思う。ただ、シンプルとはいえ、それが「身体でできるようになる」には、かなりの練習(勉強や研究ではない)が必要で、時間もかかる。それができるようにならないうちに、つまり、音の本質を体感できていないうちに、「RとLが聞き分けられない」という話になってしまっていて、僕から見ると、順番が違うような気がする。

 

本来、「RとLを、それぞれ発音できるようになること」が先決だと思う。少なくとも僕はそうしてきた。発音といっても「発音し分けること」ではない。「R」は「R」、「L」は「L」、それぞれだ。「し分ける」ことは、それぞれを発音できるようになってから。

 

念のための補足だが、「発音が先」と言えども、練習に際して「お手本として聞くこと」が必要なのは言うまでもない。

 

「発音すること」は、根気がある人なら誰でもできるようになると思う。一方、「聞き分ける」ことに関しては、母語の影響で、脳が日本語の「ラリルレロ」と混同して、なかなか聞き分けられないものが残ると思う。僕自身、「あれ?」と思うことは結構ある。しかし、ハッキリ発音された音ならば、全然違う音なのでわかるはず。微妙なものについては、聞き分けのトレーニングもあるようだけど、僕はそんなに気にしなくて良いと思っている。

 

RとLの区別について、「このような捉え方では、習得が難しいんじゃないか」と思うことを2つ挙げてみる。

 

1つは、「舌先が上の歯ぐきに付くのがLで、付かないのがR」という教え方。全然違うとは言わないけど、これじゃ、「実際の音がどんな音なのか」をまったく無視した話で、よくわからないと思う。そもそも、Lの半分近く(正確な比率は不明)は、ダークLといって、舌はどこにも付かない。

 

もう1つは、母音をつけて「Ra Ri Ru Re Ro」、「La Li Lu Le Lo」といった発音で違いをわかってもらおうという試み。ニュアンスの違いを知るには良い試みかも知れないが、これで本質を把握しようというのは無理。RやLの後ろに母音(しかも日本語)をつける方法では特徴をつかめないと思う。

 

僕だったら、「Rってどんな音?」、「Lってどんな音?」って聞かれたら、間違いなく、「Rの部分だけ」、「Lの部分だけ」を連続音で出す。これらの音の本質的な部分は、「連続して出せる音である」ということを、まず、理解しなければならない。

 

補足すると、Rについては、/ɚ:/ (あるいは /ə:r/ )という、半母音として扱われている部分が連続音として出せる部分。これができるようになることが、ものすごく重要。

 

Lについては、連続して出せるのは、「側音」と言われるライトL(クリアL)のこと。ダークLについては連続で出せないことはないが、ちょっと苦しい感じ。

 

なにはともあれ、これらの音を出すことが先決。綺麗な音を出すには時間がかかるが、およその音だったら、比較的短期間で出せるようになるはず。

 

連続音が出せるようになったら、(Rの場合は、半母音ではなく子音 /r/ として)前や後に母音が付くところの「つながり」を習得する必要がある。これについては、「つながった状態で1つの音素」のようになっているものもあれば、単語ごとにR前後のつながりを体得していかざるを得ないものもある。パターンとしてはかなりある。

 

実は、ここが「発音し分けることはできても聞き分けることは難しい」ことに影響する厄介なところ。RとLが聞き分けにくい原因の1つに、前後の音との「つながり方」のパターンが多いことが挙げられると思う。

 

「脳が、聞いた音をどうやって区別しているか」については、僕自身、研究中で情報も少ない。日本語では、「ラリルレロ」という「母音とのセット」を音素のように捉えて認識していると思う。子音単独に意識はないと思う。一方、英語では、①「R/Lという子音単独」、②「前の音とR/Lとのつながり」、③「R/Lと後ろの音とのつながり」で認識するというバリエーションがある。しかも、②と③のつながりにおいては、「高い音の成分」の変化具合に小さな特徴があるだけで、さらにそのパターンが一筋縄ではない(Rだからこう、Lだからこうと、一概には言えない)ようなのだ。よって、「ラリルレロ」の子音の部分を「R」や「L」に置き換えただけでは、多彩な特徴が網羅されない。これが、「Ra Ri Ru Re Ro」、「La Li Lu Le Lo」という捉え方ではうまくいかないだろう、という理由だ。

 

ここまで、「RとLの区別」のことを中心に書いてきた。

 

ここから、「RとLそのもの」について、ちょっとだけ掘り下げる。

 

Rには2種類の音の出し方があり(出てくる音自体はほとんど変わらない)、Lには、ライトL(クリアL)とダークLの2種類の音がある。


Rについては、舌先を前歯の後ろの方に近づける(ただし触らない)方法と、舌全体を後ろ(喉の方)に平行移動みたいに引く方法(舌先は、自然に少し上がる)の2種類がある。しかし、日本では、このどちらも教えられていないと思う。「何となく巻き舌」みたいな感じが多いんじゃないだろうか。

 

僕は、これから本格的に発音を学ぶなら、後者(舌を後ろに引く)1本で良いと思う。

 

この方法で綺麗なRが出せれば、「単語の冒頭でのRでは、口をすぼめる(最初にWを付けるような感じで)」なんてことをする必要はまったくないはず。実際には、唇がすこしすぼまった独特な形になるんだけど、それは、舌を引くRの発音をやっていれば自然にそうなると思う。少なくとも、僕は、この独特の口の形は、結果的に勝手に「なっていた」もの。

 

LにはライトL(クリアL)とダークLがあって、これは両方とも習得が必要。

 

Lの音は、簡単だという人もいるが、英語の中ではトップクラスの難しい音だと思っている。

 

ライトLについては、近い音なら簡単なので、基本的にはそれで良いと思う。細かなことを言い出すと、実はすごく奥が深い。これに時間をかけるなら、他のことをやった方が良いようなもの。

 

ダークLは、Lのうち半分近くを占めるものであるにもかかわらず、学校などでは、ほぼ教えていないと思う。厄介だが、これができるようにならないと、アメリカ英語には近づけない。ダークLでは、舌先はあまり関係ない(たいていの場合、どこにも付かない)ので、「舌先が付くのがL」という言い方は半分は間違っていると言える。(補足:ダークLでも、しっかり発音しようとしたり、後に母音が来たりすると状況は変わって来る。)


このへんがわからないと、already とか All right をどうやって発音するのか、一向にわからないと思う。

 

ちなみに、これらの単語のような、RとLが隣接している単語においては、Rは、舌を引く方法を覚えた方がやりやすいと思う。


その場合、舌を引くRとダークLのところでは、舌の後ろの方が忙しく動くことになる。舌の後ろの方は思うように動かせるものではないから、舌を引く練習をしておいた方が良いと思うのはこのためだ。

 

なお、word と world とか、literally や literary、squirrel、jewelry などといった発音にトライするのは、それぞれの音が出せるようになってから・・・僕は普通にそう思う。

 

話がまとまらなくなってしまった。少しまとめる。


まず、連続して出せるRとLを「発音できるようになること」が大事だと思う。練習のお手本として音を聞くことは必要であるものの、「RとLを聞き分ける」ということは、発音できるようになってから。

 

Rの出し方には2種類あるが、本格的に発音を習得しようとするなら舌を引く方法がいいんじゃないかなと思う。

 

LにはライトL(クリアL)とダークLがあるが、これは両方とも必要。ダークLは、舌を引くRができるようになってから取り組んだ方がやりやすいと思う。

 

よって、まず、舌をうしろに引く動作を少しやってみることが大事で、次いで、連続音(半母音)としてのR( /ɚ:/ あるいは /ə:r/ )が出せるようになることが大事。これができるようになれば、かなり世界が変わるんじゃないかな?と思う。

 

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