私は、毎日、英語の発音練習をしているのですが、最近、特に意識していることがあります。
文章の発音練習になると、「できる/できない」というより、「上手になる」ことを目標とすることが普通です。「質」を上げようとする練習ですね。ところが、「質」を上げようとしても、つかみどころがなくて、なかなか変わらないことが多いのです。
そこで、私は、1つの文章をまるごと繰り返す練習は一旦止めて、「かなり細かな部分だけを取り出して練習」するようにしています。
例えば以下のようなことです。
- 文章中の連続する単語2つだけを抜き出して練習する。
- 連続する2つの単語のうち、「前の単語の最後の音節」と「後の単語の最初の音節」だけ抜き出して、そのつながりを練習する。
- 特定の音節だけを練習する。
- 特定の音素(子音や母音)のあたりだけを集中して練習する。
- 極端な場合、連続した2つの子音だけを練習する(そんなの発音できるのか?という練習をすることもあります)。
こうやって書いても、伝わらないと思うんですが、とにかく「動きがしっくりこない」ところとか、「適当にごまかしちゃっている」ところを抜き出すんです。
そして、その「抜き出した部分」だけについて、「できない」を「できる」ように、繰り返し練習するのです。
むしろ、「できない」を「できる」ようにしようとする練習が可能な部分を抜き出す、という言い方の方が良いかも知れません。
とにかく、「全体をなんとなく上手にしていく」というのとは全然異なります。
私の経験では、だいたい10回ぐらい繰り返せば変化が起きてくることが多いです。さらに、30回から40回と繰り返すこともあります。そうすると、「ちょっと変化をつけてみる」ぐらいの余裕ができてきます。脳が動きを覚えかけている状態だと思います。
それぐらい繰り返してから、「抜き出した部分よりも少し広い範囲」を言ってみると、練習前とは明らかに変わっていることが多いです。文章全体を発音しても、その部分が良くなっていたりします。
そういう練習を、毎日続ける訳です。一度にやろうとしても無理で、ちょっとずつです。だいぶ経ってからドンと変化する場合もあります。
これは、英語の発音に限らず、楽器やスポーツにおいても、同じような取り組み方があることだと思います。全体を繰り返し練習しているだけでは、あまり変わらなくなってきて、上達がどこかで止まってしまう。一方、部分を取り出して、ハッキリと違う動きを作っていけば、いつかは大きな変化になるはずです。ただし、変な癖がつくと、それが刷り込まれてしまうので要注意ですが。
ちなみに、英語の発音においては、このような積み上げ式の方法を支持する人は、とても少ないようです。一般的には、旋律というか、包絡線(エンベロープ)というか、そういう全体的なフワフワとした流れを作ることが大事だとする考え方が主流みたいです。そして、その中身を正確にしていく、ということだと思うのですが、人によっては、全体が大事なのであって中身を正確にする必要などない、という人もいらっしゃるようです。
短期間で実用的なものを目指すなら、それもアリだと思いますが、本当に上手くなりたいと思ったら、すべての動きをごまかすことなく作っていく必要がある、というのが私の考え方です。