うるさい素人

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英語発音雑記(5) 日本語の「イ」に相当する母音

この雑記では、英語発音に関する私自身の回想や考えなどを「独り言」感覚で綴ります。発音方法を解説することは意図していませんのでご了承ください。

 

日本語の「イ」に相当する母音は、基本的な音色の違いで大きく分けて最低でも2つある。この2つは全然違う音なので、しっかり区別しなければならない。

 

英語には、RとLなど、日本人には区別しにくい音がたくさんある。しかし、この「イ」に相当する音に関しては、かなり無頓着に扱われている気がする。

 

繰り返すが、「イ」に相当する音は、最低でも2つある。ただ、僕は3つに分類した方が良いと思っている。

 

実はこれらの音、かなりややこしいことになっている。長さやアクセントのことまで含めると、かなり混沌とした状況になる。また、似た記号が使われているので、拍車をかけてわかりにくい。混乱を避けるため、最初からコロンやアクセントのマークがついた記号を使って分類してみる。

 

僕の感覚では、音の響きに基づいて、以下 1. 2. 3. の3グループに分けられると思う。

  1.  /í:/、/ì:/、/i:/
  2.  /í/、/ì/、/ı/
  3.  /i/

 

<単語例>

  1. sea  /sí:/  tea  /tí:/  key  /kí:/  feel  /fí:ł/  leave  /lí:v/
  2. kit  /kít/  kid  /kíd/  big  /bíg/  fill  /fíł/  give  /gív/
  3. any  /έni/  money  /mʌ́ni/  city  /síti/ の末尾 lily  /líli/ の末尾 副詞の接尾辞の -ly  /li/

 

これらのうち、特に1.と2.の区別は重要で、世間でもよく解説されていると思う。

発音記号上、コロン「:」の有無の違いに見えるので、「音の長さの違い」だと思われがちだが、問題なのは音色の違い。明らかに違う音なのだ。

 

これらの音について確認していく。

 

1. は、日本語の「イー」に近いが、もっと横に引っ張った感じで緊張感を伴う音。僕は、/i:/、 /ɛ/、/æ/ の3音は、同じぐらい横に引くようにしている。3つで異なるのは縦の動きだ。ちなみに、この3つの音をハッキリ発音しようとすると、直前に、顔の筋肉が勝手に横に引くような動きを始める感じがする。

 

2. は、「イ」と「エ」の中間の「緩んだ感じ」の音。音の出し方については、書籍にもネット上でも、適切な解説がけっこうあると思う。

この音を日本語の「イ」のように発音すると、詳しい人から「それは違う」と指摘されるかも知れない。また、日本語の「イ」のように発音すると「ヒ」に近い音が混じることがあり、英語としては変な音になってしまう。

この /í/、/ì/、/ı/、決して難しい音ではないはずだが、身体に馴染んで、とっさに適度な音が出せるようになるまでには、ある程度の期間が必要になってくると思う。もっとも、「この音がどの単語に含まれるのか」を1単語ずつ身体で覚えていくことの方に時間がかかりそうだが。


思えば、僕は、子供の頃に初めて英語を習い始めた時から、この音は区別して出してきた。「上手か下手か」と言ったら怪しいものだったが、曲がりなりにも使い分けてきたことに関しては、とても助かっていると思う。あとから全部の単語を覚え直すのはとても大変だと思う。改めて、「発音は最初にやった方が良い」と思う。

 

3. は、あまり話題にならない感じがする。「1. からコロンを取って短くしたもの」と考えられているのかも知れないが、僕は、1. とは別の響きだと思う。似てはいるが、1. ほど「横に引くような緊張感」のない緩い感じの音だからだ。とはいえ、2. の /ı/ とは違って、むしろ「イ」に近いぐらいだから、別の音なのかなという感じ。
まあ、3.については、これが元で通じない(別の単語と間違えられる)ということはあまりなさそうなので、3. の扱いをとやかく語るのはこだわりの領域なのかも知れない。

 

今回は3つに分類したが、2. については、アクセントのある /í/(/ì/)と、アクセントのない /ı/ を別物として、全部を4分類にすることも考えられる。/ı/ は弱母音という /ə/ に近いもの。/í/ と /ı/ は、音色は似ていても違う性質を感じるからだ。

 

これらの音、細かなことを言いだすと奥が深く、発音オタクのような世界になってしまうかも知れない。


しかし、少なくとも「大きく2つの音がある」ことは重要。それなのに、他の音に比べて無頓着に扱われているのは不思議だ。「発音が難しくないから」なのかも知れないし、「英語っぽくない音だから関心が低い」ということなのかも知れない。もし後者だとすると、「どうして発音が苦手なのか」ということにつながる根が深い問題だと思う。

 

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